フェライト系ステンレス鋼の475℃脆性について

みなさん、こんにちは。
メタルヒートです。

今回は、475℃脆性についてお話します。
「475℃脆性」または「475℃脆化」は、フェライト系ステンレス鋼や二相系ステンレス鋼に見られる脆化現象です。300℃~550℃程度に一定時間加熱した時に脆化が起こり、硬度が上昇し、延性や靭性が低下します。特に475℃付近で急速に脆化するため475℃脆性と呼ばれます。
この脆化現象は、Cr含有量が12%を超えると確認されるようになり、含有量が増えるほど短時間で脆化が発生します。およそ15%を超えるあたりからこの脆化減少が問題となる場合が多くなります。
フェライト系ステンレス鋼で特筆される特徴ですが、マルテンサイト系ステンレスやオーステナイト系ステンレスでも起こります。

この脆化現象はスピノーダル分解という相分離によって起こり、組織がCr濃度の高いフェライト相と低いフェライト相に分離する事により硬く脆い組織になるのです。
この脆化は、600℃以上の温度で一定時間保持することでCrを再固溶させて解消する事ができます。
600℃~800℃程度の温度域ではσ脆性という別の脆化現象が発生しますが、これはその温度域で数百時間程度の保持が必要なため、熱処理工程で問題視される事は一般的にはありません。
また、475℃脆性は、Alなどの添加で発生を抑制できることが確認されています。

みなさんの参考になったでしょうか。
それでは、また来月もよろしくお願いします。

株式会社メタルヒート / ステンレス・真空熱処理 / 愛知県安城市
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