フェライト系ステンレス鋼の熱処理

みなさんこんにちは。
メタルヒートです。

SUS430に代表されるフェライト系ステンレス鋼は、鉄とクロムが主成分で、オーステナイト系ステンレス鋼と比較して耐食性や強度で劣りますが、ニッケルを含まないため、比較的安価に手に入る点が大きなメリットです。
焼入れで硬くすることのできない材料で、我々のような熱処理メーカーにくるのは、焼鈍の依頼がほとんどです。

オーステナイト系ステンレス鋼を固溶化処理する際に、鋭敏化温度域を素早く通過させなければならない事は良く知られていますが、フェライト系にもσ脆性、475脆性など脆化温度域があります。
σ脆性はオーステナイト系ステンレス鋼の鋭敏化温度と同程度の温度域で発生しますが、数十時間~数百時間以上の長時間保持することによって生成されるσ相が要因となるためそのような長時間処理を行わない焼鈍の際にはほとんど考慮する必要はありません。
475脆性はその名の通り475℃前後で発生する脆性で、この温度域は素早く通過させてやる必要があります。

また、フェライト系ステンレスの焼鈍は、非常に変色が発生しやすい処理です。固溶化処理と比べると低い温度での処理になるため、真空炉内での酸素の残留量が比較的多くなりやすい、わずかな酸素でも表面の酸化皮膜が成長しやすいためです。
弊社では特に変色を避ける必要がある場合は、「連続式真空炉での超高真空状態で処理を行う」、「昇温前に限界まで排気を行う」、「昇温途中で予熱時間を設けて排気を促す」など様々な対策を行っていますので、お困りの方はご相談下さい。

それではまた来月もよろしくお願いします。

株式会社メタルヒート / ステンレス・真空熱処理 / 愛知県安城市
HP:http://www.sus-heattreatment.jp   TEL:0566-98-2501

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